スタートアップのバリューアップ戦略について解説

スタートアップは、起業して間もないことから企業を成長させていくことが必要です。そこで、バリューアップ戦略に取り組むケースが多く見られます。バリューアップ戦略はコスト削減や売り上げ向上などさまざまな施策を必要としており、社内全体で取り組むことが重要です。

特に、まだ実績や資金、知名度が十分でないスタートアップにとって、バリューアップは容易ではなくM＆Aを選択するケースも少なくありません。

バリューアップ戦略とは

バリューアップ戦略とは、企業価値を高めるための計画や実行プロセスのことです。スタートアップ企業において、企業が持続的に成長して競争力を強化するために重要な要素となります。

バリューアップ戦略を具体化するために、3W1H（Who, What, Why, How）を明確にすることが重要です。

• Who：誰に価値を提供するのか（ターゲット顧客）
• What：何を提供するのか（製品・サービス）
• Why：なぜそれが必要なのか（顧客の課題・ニーズ）
• How：どのように提供するのか（提供方法・チャネル）

バリューアップ戦略の目的

バリューアップは、企業がよりよい価値を提供することで顧客満足度を高めるための戦略です。バリューアップ戦略を行うことで、売り上げや利益を増加させ企業の価値を高めていきます。

バリューアップ戦略には、企業が提供する商品やサービスの品質向上や顧客が求める機能の開発などが求められます。また、顧客が直面する課題の解決もバリューアップの大きな目的です。顧客の潜在的なニーズを深く理解し、それに応える革新的なソリューションを提供することで企業の価値が高まります。

バリュープロポジションキャンバスの活用

バリューアップを効率的に進めるためには、顧客に提供する価値であるバリュープロポジションの把握が重要です。企業の想定が顧客のニーズと異なった場合、顧客や売り上げが増えない要因となります。

そこで、自社の製品やサービスと顧客が求めている内容がずれないようにするフレームワークであるバリュープロポジションキャンバスの重要性が高まっています。バリュープロポジションキャンバスを活用することで、自社商品の良さや改善点を明確にした上で顧客ニーズとのずれを明確にすることが可能です。

スタートアップのバリューアップ戦略における施策

スタートアップのバリューアップ戦略を進めるにあたって、次の施策が挙げられます。

• コスト削減
• マーケティング戦略の見直し
• 売り上げアップ
• 異業種への展開

コスト削減

企業価値を向上させるためにまず必要なのがコスト削減です。 特にスタートアップ企業にとって、新しい事業を始めるためのスタートアップコストが必要です。リソースが限られた状態で運営するケースの多いスタートアップでは、スタートアップコストを抑えることが必要不可欠です。

また、限りのあるリソースの最適化も重要な課題となります。コスト効率を高めることで、長期間にわたって持続できるビジネスを実現できるようになるでしょう。

マーケティング戦略の見直し

効果的に マーケティング戦略を進めることによって顧客獲得コストを削減しながら長期的な顧客を獲得しやすくなります。ターゲット顧客を最低限することによってより精緻な顧客セグメンテーションを行い、効果的なマーケティング活動を展開することが可能です。 

コンテンツマーケティングの強化もマーケティング戦略の見直しにおいて重要な要素の一つです。顧客にとって有益な情報提供をすることでブランド認知度と顧客ロイヤリティの向上につながります。 

売り上げアップ

売り上げアップは企業価値向上の直接的な要因となります。新規商品や顧客の開拓も必要ですが、既存客の売り上げを増やすことも重要です。既存客において次の方法で売り上げアップが期待できます。

• クロスセリング
• アップセリング

クロスセリングとは、現在の顧客に対して関連した商品やサービスも提案することで売り上げ増を目指す方法です。例えば、Amazonで購入した顧客に対して「この商品を買った人にオススメ」とレコメンドが表示されますが、クロスセリングに含まれます。

クロスセリングは顧客に対して関連した商品を売り込むため成約率が高めで、新たに顧客開拓をする必要がないことからコストも抑えられます。

対してアップセリングは、現在の顧客に対してより良い商品やサービスを使ってもらい売り上げを上げる方法です。アップセリングをすることで顧客一人あたりの単価があがるほか、クロスセリングと同時に行うこともできます。

異業種への展開

これまでとは異なった成長機会を見つけるために、異業種への展開が有効な場合もあります。例えば、自社が持つ技術のノウハウを最大限に活かせるような市場への参入が1つの方法です。

スタートアップのバリューアップ戦略への取り組み

スタートアップがバリューアップ戦略をするにあたって、次の取り組みが挙げられます。

• 社内体制の見直し
• デジタル化
• M&A

社内体制の見直し

バリュー戦略をするにあたって、社内体制の見直しが必要です。自社の持つ技術やスキルを活かすために十分な人材の採用と育成が求められます。さらに、従業員一人ひとりがそれぞれの能力を最大限に活かすための適材適所の人員配置の設定が重要です。

ほかにも、迅速な意思決定と柔軟な対応ができるような組織構造の最適化を行うことで、生産性の向上や従業員満足度の向上を図れます。KPI（Key Performance Indicator、目標達成に向けた定量的な指標）を設定して定期的に見直すことで継続的な軌道修正を行うことが必要です。

デジタル化

自動化ツールやAIを導入することによって生産性を高めるほか人件費を削減できるほか、デジタル技術を活用することで、急激な技術やCXの変化などに対応しやすくなります。

シェアリングエコノミーやサブスクリプションなど、新しいビジネススタイルが次々に誕生している現代において、デジタル戦略の導入はバリューアップを行うためにも必要不可欠です。

M&A

スタートアップは、設立から間もないことから資金力や知名度、実績などがボトルネックとなり、折角の技術やノウハウを活かせない場合が少なくありません。そこで、大手企業に買収してもらうことでバリューアップにつながる場合があります。

また、短期間でイグジットできるといったメリットもあります。IPO（Initial  Public　Offering、新規公開株式）と比較しても成立までに時間がかからず手続きも複雑ではありません。