×

スタートアップエコシステムとは何か?その由来や拠点都市について

スタートアップエコシステムとは何か?その由来や拠点都市について

経済の発展には、民間企業の成長が肝となります。

その中でも、創業10年以内に評価額10億ドル規模となるユニコーン企業への期待が高まっています。

ユニコーン企業を増やすためには、まずスタートアップ企業が創設されやすい環境を作り出すことが重要なことです。

そこで注目されているのが、スタートアップエコシステムという概念です。

この記事では、スタートアップエコシステムとは何か、さらに具体的にスタートアップエコシステムにはどのような組織があるのかを解説します。

本記事を読めば、スタートアップエコシステムについて知見を深めることができるでしょう。

ぜひ最後までご覧いただければと思います。

スタートアップエコシステムについて

AD_4nXfLx9GCFI4uHw8r81WfEEbjV8G_9VhUwJZYrF4I5taI9VuWGMHiyOybVSyuXtBowXI0Y2SZ8F7rWTz3KOaKzg6Y7CbDcs5-7uuItUABs4DkuvNkaXt783Kpef4ZsR8cMqwn3K7ItBGg_2gLx_Volktbv6E?key=fpI0A4ylwje7JkRoDVjfjywU スタートアップエコシステムとは何か?その由来や拠点都市について

ここでは、スタートアップエコシステムの概要について解説します。

スタートアップエコシステムとは

スタートアップエコシステムとは、大企業や起業家、リスクキャピタル、投資家、大学、政府機関などの産業に関わるステークホルダーが、相互に協力しあい、新しいビジネスを創出するスタートアップ企業を支援する産業生態系のことを指します。

民間企業、政府機関、教育機関などが自然界の生態系のように相互に関連しあっていることから、生態系を意味するエコシステムという言葉が使用されています。

スタートアップエコシステムの例の一つとしては、大学の研究機関において、新しい基盤技術が開発された場合に、その新しい技術を基にスタートアップ企業を設立し、複数の大企業や政府機関が研究を支援したり、資本を投入するなどのサポートを行うことで、新しい技術を研究開発しているスタートアップ企業が廃れないように、協力し合うことがあげられます。

つまり、スタートアップエコシステムが整備されることで、人材や研究機関、資本などが上手く循環し、新しい価値を生み出すイノベーションが起こりやすくなります。

スタートアップエコシステムの始まり

スタートアップエコシステムの起源は、アメリカの大手企業が集まっているシリコンバレー

です。

シリコンバレーでは、自然界の生態系が循環するように、おのずとスタートアップエコシステムが形成されました。

そして、スタートアップエコシステムが整備されたことで、新しい価値を生み出すスタートアップ企業を何度でも立ち上げることが可能となり、アメリカ経済の成長を促している実情があります。

近年では、日本もスタートアップ企業の設立が重要なことが認識されており、政府レベルで、スタートアップエコシステムを整備する施策が打ち出されています。

日本政府のスタートアップエコシステムに対する取り組み

ここでは、日本政府がスタートアップエコシステムを整備するために行っている、取り組みについて解説します。

スタートアップに対する投資環境

スタートアップエコシステムを形成するためには、スタートアップ企業を継続的に運営するための資本がポイントの一つとしてあげられます。

その資本を提供している投資家に対しては、政府は投資契約にかかわる方針を策定し、2022年には「スタートアップ育成5カ年計画」を立ち上げ、2027年までに、投資規模を10兆円となるような施策を打ち出す大きな目標を掲げています。

グレーゾーン解消制度による新規事業の下支え

グレーゾーン解消制度とは、 産業競争力強化法において、新規事業の内容が現行の法律の適用範囲に含まれるかどうかを確認できる制度です。

ここで産業競争力強化法とは、日本の経済成長を促すために、産業の持続的発展を目標とした施策を策定したもので、 民間企業の成長を阻む規制を改定したり、中小企業への成長支援を行ったりするための法律です。

産業競争力強化法は多くの場合、企業の成長を促進することに役立ちますが、スタートアップ企業が新しく立ち上げた事業が、産業競争力強化法の適用に当てはまるかどうかが曖昧な部分もあり、そのことが課題としてありました。

グレーゾーン解消制度では、スタートアップ企業が事業計画段階から、産業競争力強化法の適用範囲かどうかを確認することが可能となり、新規事業の成長を後押しすることができるようになりました。

スタートアップエコシステムのグローバル化

スタートアップ企業の創設と成長を促すためには、優秀な外国人起業家を日本に誘致することも重要です。

そのために、スタートアップビザという新しい形態のビザを発行し、外国人起業家が日本に滞在できるようにしています。

また、海外ベンチャーキャピタルなどからの融資も積極的に受け入れています。

新規事業の基盤形成の促進

新規事業を立ち上げ、成長させるためには、スタートアップエコシステムを形成することも大切ですが、支援機関同士の連携や、起業家の育成が重要事項となります。

さらに、高度な技術を持つ人材の育成や確保なども、スタートアップ企業を成立させるために忘れてはならない要因です。

日本のスタートアップエコシステム拠点都市について

AD_4nXf4wzkfWM6B4CAjkfhVSEzlNZewHEmf7TAxPlDVaOfV9G3SOUOjT4Zltd4759Nahpoug_Niukm2ud6Dlb85wl9pukntWyl-VV-bd5pW7d_w50zFc5Mp-zIOu0JCsn-Enu3mPb_upegu93SX-GqAz2_rLBqT?key=fpI0A4ylwje7JkRoDVjfjywU スタートアップエコシステムとは何か?その由来や拠点都市について

ここでは、日本のスタートアップエコシステムを醸成している拠点について解説します。

日本のグローバルスタートアップエコシステム拠点都市

グローバルスタートアップエコシステム拠点都市は、アメリカのシリコンバレーを目指した拠点都市です。

具体的な地域としては、東京都、大阪府、福岡県、愛知県を中心とした4つの地域があげられます。

スタートアップエコシステム東京コンソーシアム

スタートアップエコシステム東京コンソーシアムは、東京都、渋谷区、川崎市、横浜市、茨木県、つくば市、千葉市などが参画するスタートアップエコシステムです。

東京都を心臓部とし、その他の地域は研究開発拠点として連携を取っています。

また、東京大学、慶応大学、早稲田大学などの優秀な人材が集まっている教育機関と協力して、研究開発の新規事業化を推進しています。

各地方自治体や事業者と共同で、スタートアップ企業の新技術や、新サービスを実証できる環境を整備しています。

Central Japan Startup Ecosystem Consortium

愛知県、名古屋市、浜松市などが中心となっているスタートアップエコシステムです。

日本の製造業を代表するような企業が集結しているという特徴があり、そのような大手企業とスタートアップ企業が手を取り合い、強力してイノベーションを加速しています。

特にモビリティや、インフラシステム、ヘルスケアなどの分野で共同プロジェクトを立ち上げています。

また、名古屋大学を中心とした教育機関において、起業家教育やデジタル教育を積極的に実施しています。

さらに、日本最大クラスのスタートアップエコシステムである「Station Ai」を形成することに成功しています。

大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム

大阪府、京都府、兵庫県という三大都市の強みを集結し、ヘルスケア、ものづくり、情報通信分野のスタートアップ企業の創設に注力しています。

大阪大学、京都大学、神戸大学を中心に、大手企業や研究機関が連携して、スタートアップエコシステムの整備をしていることが特徴的です。

福岡スタートアップコンソーシアム

2012年に公表した「スタートアップ都市宣言」を起点として、官民が協力して、起業支援やスタートアップ企業の設立を推進しています。

福岡スタートアップコンソーシアムでは、イノベーションを起こしたい学生が集まった九州大学の起業部をはじめ、若年層のスタートアップ設立に対する意識が高まっています。

また、FUKUOKA Smart EAST推進コンソーシアムでは、少子高齢化などの社会課題を解決しながら、より良い地域環境の整備を目指し、持続可能な社会を構築することを推進しています。

日本のスタートアップエコシステム推進拠点

日本には、グローバルスタートアップエコシステムの他にも、スタートアップエコシステム推進拠点があり、スタートアップ企業は、グローバルスタートアップエコシステムと同じような支援が受けられます。

スタートアップエコシステム推進拠点の具体的な地域は次の通りです。

札幌・北海道スタートアップ推進協議会

STARTUP CITY SAPPOROを中心に 北海道のスタートアップ企業を支援しています。

具体的な対象分野としては、一次産業やヘルスケア、宇宙産業になります。

仙台スタートアップエコシステム推進協議会

世界を変革するスタートアップ、ソーシャルイノベーターが集まる都市を構築することを目標として掲げて活動を行っている、スタートアップエコシステム推進拠点です。

社会課題を解決することを目指した活動が多いことが特徴です。

広島地域イノベーション戦略推進会議

広島の企業、教育機関、金融機関、行政が一体となって、絶え間ないイノベーションを起こすスタートアップ企業を創造することを目標としている、スタートアップエコシステム推進協議会です。

北九州SDGsスタートアップエコシステムコンソーシアム

SDGsを実現するために、環境やロボット、DXという分野に焦点をあて、スタートアップエコシステムを形成しているのが特徴です。

地元の産業や北九州学術研究都市の研究機関と共同で、新しい技術の実証を推進しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここまで、スタートアップエコシステムとは何か、またスタートアップエコシステムを醸成するために日本政府が行っていることや、スタートアップエコシステムの整備に尽力している拠点を紹介してきました。

この記事のポイントを整理すると以下の通りです。

  • スタートアップエコシステムとは、さまざまなステークホルダーが相互に協力しあい、新しい価値を生み出すスタートアップ企業が創出されやすいように整備された産業生態系のこと。
  • 日本政府はスタートアップエコシステムを推進するために、投資環境を改善したり、産業競争力強化法におけるグレーゾーン解消制度を制定したり、外国人起業家が日本で活動しやすいように、スタートアップエコシステムのグローバル化を実施したりしている。
  • グローバルスタートアップエコシステムの拠点は、東京都、大阪府、福岡県、愛知県を中心とした4つの地域があげられる。
  • スタートアップエコシステム推進拠点は、北海道、仙台、広島、北九州などの地域があげられる。

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

コメントを送信