スタートアップの買収を成功するための対策！M&Aの失敗談を紹介

創業から間もなくても、短期間で成長して革新的な技術のあるスタートアップを買収するケースが増えています。新しい事業を始めたり成長戦略の一環としたりなど目的はさまざまです。

しかし、スタートアップの買収において必ずしも成果が出るとは限りません。買収時に発生したコストが合わなかったり、経営や業務においてアナジー効果が生じてしまったりなど失敗する可能性があるため注意が必要です。そこで、本記事では、M＆Aの失敗談を紹介したうえでスタートアップの買収を成功させるための対策について解説していきます。

スタートアップのM&Aを行う理由

近年、スタートアップのM&Aが注目を集めていますが主に次の理由が挙げられます。

• 短期間で成長し革新的な技術を提供している企業を買収して、技術力や市場での競争力を高める
• 成長戦略の一環として買収する
• 経済産業省がM&A促進やグローバル化を後押ししている

スタートアップ企業を買収することで、シナジー効果によって既存の事業を強化することが可能です。既存事業の弱い部分をM&Aによって補うことが一般的です。また、新しい技術やアイデアを導入することで新規事業に参入できるようになります。いずれにおいても、一から立ち上げるのと違い、人材の育成やコストなどを抑えられます。

スタートアップは特定の技術を極めるためのプロフェッショナルが集まることで、開発を進めていることが一般的です。そのため、最近の技術を有していることが多く買収により市場参入や市場シェアの拡大をスムーズにできます。

また、優秀な人材を獲得することで技術力を向上できるほか、新たな企業文化や働き方などを導入できるため企業の成長につながります。経済産業省がM&A促進やグローバル化を後押ししていることもスタートアップ買収を決断する要因の1つです。

スタートアップのM&Aにおける失敗談

スタートアップのM&Aには、シナジー効果の発生や技術力や市場での競争力を高めるなどメリットがある一方で、次のような失敗談も見られます。

• 優秀な人材が離職する可能性がある
• 簿外債務を引き継ぐ可能性がある
• 買収しても思ったような結果につながらない

M&Aが失敗する可能性を考慮して、実際に導入するかどうかの判断が重要です。

優秀な人材が離職する可能性がある

M&Aで事業や企業文化に変化があることで、優秀な人材が離職する可能性があります。優秀な人材が抜けることで、企業としてかえってマイナスになる場合があるため、M&Aを行う前に社内で十分に周知やフォローが必要です。

また、買収する企業の組織文化や業務プロセスを融合させるために、統合プロセスをスムーズに進められる体制作りが重要になります。双方の従業員とコミュニケーションを密にとって協力できる環境作りをすることで、従業員満足度が上がり優秀な人材の離職防止が可能です。

簿外債務を引き継ぐ可能性がある

M&Aでは、債務があった場合も引き継ぐため買収先の企業が帳簿では判断できないような簿外債務を引き継ぐ可能性があり、特に訴訟関連の問題を抱えている場合に注意が必要です。リスクを把握できないまま買収してしまうと、損害賠償の対象となる場合があります。

買収する企業の技術力や人材だけでなく、財務状況や法務に関連するリスクなどさまざまな調査が求められます。スタートアップは実績豊富な企業と違い情報が足りない傾向がるため、スタートアップのM&Aにおいて経験豊富な専門家によるデューデリジェンスの徹底が重要です。

買収しても思ったような結果につながらない

買収したらシナジー効果が必ず期待できるわけではありません。自社に合った技術を持っている点以外に、フェーズが比較的浅い企業を買収すると比較的コストを抑えられます。買収元である企業の支援やアセットで、スタートアップの技術を伸ばせるかどうかの判断が重要です。

また、買収をする目的や達成したい目標に応じた戦略、事前の綿密な調査が不可欠です。買収対象企業の技術力や市場性だけでなく、企業文化の適合性や人材の定着率などの考慮が必要です。短期的な利益だけでなく、長期的な成長戦略の中でスタートアップの買収をどう位置づけるかを十分に検討し、慎重に進めることが求められます。

スタートアップの買収を成功させるためのポイント

スタートアップの買収を成功させるためには、次のポイントが挙げられます。

• 適切にPMIを構築する
• 相乗効果を期待できる企業を買収する
• 新規事業に対応できる人材や戦略を準備する

適切にPMIを構築する

PMI（Post Merger Integration、ポスト・マージャー・インテグレーション）とは、M&Aを成立させたあと成果を最大化させるためのプロセスです。M&Aでは、別の企業が統合されることから買収元、買収先企業のいずれもが混乱に陥りやすくなります。

業務における混乱や内部対立、また混乱が原因となり業績悪化につながる場合もあるでしょう。会計処理が異なることから、財務諸表の作成が遅くなる場合もあります。これらの混乱を防ぐためにも、適切なPMIの構築が求められます。PMIには、制度や経営体制、業務システムなどを統合することで買収後の混乱を防ぐことが可能です。

相乗効果を期待できる企業を買収する

M&A後にシナジー効果がない場合、M&Aをしても期待したような効果は現れません。そのため、買収先企業の事業を十分に把握することで、買収先企業の事業や技術が自社にとって親和性や補完性があるかどうかを慎重に評価することが重要です。

例えば、技術力の向上や生産能力の拡大、販路の拡大、ブランド力の向上などの具体的な相乗効果が期待できる企業を選ぶことで効果的な買収ができるようになります。M&Aによって、組織が大きくなりすぎて部門が重複して非効率になったり、意思決定が遅れたりなどのアナジー効果が生じる可能性もあるため十分に考慮することも求められます。

新規事業に対応できる人材や戦略を準備する

スタートアップの買収を成功させるためには、新規事業に対応できる人材や戦略の準備が極めて重要です。適切な人材や戦略が不足していると、期待していた買収の成果を得られない傾向にあります。

また、M&Aそのものに対して知識をもった人材が不足しているケースも見られます。M&Aには、自社にあった企業の選択やマッチング、交渉、契約の成立までそれぞれのプロセスにおいて専門知識が必要です。自社でM&Aに詳しい人材を育成するほかに、外部から専門家を依頼する方法があります。

スタートアップの買収を成功させるために

近年、スタートアップを買収する企業が増えています。スタートアップの持つ技術やスキルなどを活用して、新しい事業を起こしたりマイナス部分を補って強みにしたりすることが目的です。また、企業が成長するための過程として買収する場合もあります。

一から事業を始めるのと比べて、人材の育成やコストなど不安を抑えることが可能です。しかし、必ずしも買収の効果が現れるわけではありません。新しい事業や企業文化を統合するためには、十分な準備が必要となります。適切なPMIの設定や新規事業に対応できる人材や戦略、またシナジー効果が期待できる企業を買収するなどの対策が求められます。

スタートアップのM&Aや買収を成功させるためには、専門知識を持った担当者のサポートが重要です。そこで、経験豊富で実績のある士業事務所へのご依頼をおすすめします。